・戻ってくる可能性があるのは「自動車税」
・しかし、買取店側からユーザーへ税金還付の詳しい説明をする事はない
・確実に税金の還付を受ける事が出来る小技がある
自動車を購入・維持するには、いくつかの税金を納める必要がありますが、「売却したとき、戻ってくる税金ってないのかな?」と疑問を持つ方も、相当数おられます。
結論から先に言うと、ケースバイケースではありますが、車を売却すると税金が戻ってくることがあり、それを税金の還付と言います。
しかし、還付される税金が売却者の手に、「そっくりそのまま」戻ってくるかは別の話になるので、今回は自動車の売却と税金との関係について、詳しく解説して参ります。
売却に伴い還付される可能性が最も高いのは「自動車税」
車を購入・維持する際に、納付が求められる税金には、
1. 自動車取得税・・・新車及び、高額で年式の若い中古車を購入すると、本体価格に準じて課税されることがある。(普通車は6年以内、軽自動車は4年以内が課税対象で、いずれも50万円以下の場合は非課税。)
2. 消費税・・・購入総額に準じる。
3. 自動車税・・・毎年4月1日時点での、車検証上の使用者(所有者ではない)に、納税義務が発生する。
4. 自動車重量税・・・初回検査並びに継続検査時、車検の有効期間分を一括納付する必要がある。
があります。
このうち、車両購入に伴い納付する1と2に還付制度はないものの、事前納付の形をとる3の場合、売却タイミングによっては「月割計算」で還付がなされます。
例えば、自動車税の納付は5月に行われるため、直後の6月に車を売却したケースでは、計算上では7月~翌3月までの「9ヶ月分」が戻ってくることになります。
ちなみに、軽自動車は元々の税額が低いため、いつ手放そうとも自動車税が還付されることは、一切ありません。
還付金にこだわるより高く売れる先を探すことが肝心!
愛車を業者に売った際、買取代金と別に「はい!これ自動車税の還付金です」なんて具合に、買取業者や下取りをしたディーラーから、還付金を受け取ったことがあるという方は、まずいないでしょう。
自動車税の還付金は、車を売ったor手放した際に発生するのではなく、
⦁ 車体をスクラップし鉄資源に変える・・・永久抹消
⦁ ナンバーを返納し一時的に保管する・・・一時抹消
⦁ 輸出用中古車として海外に転売する・・・輸出抹消
のいずれかをすることで、初めて発生します。
まず、車検の残りが多い車を売った場合、買取業者としてもそのまま店頭に並べたほうが、売却しやすいため一時抹消せず、そもそも還付金自体が発生しないこともあります。
一方、在庫中は自動車税が発生しないため、車検残の少ない車は一時抹消されるケースも増えてきますが、業者に車を売る際取り交わす契約書の中には、「買取(下取り)代金には自動車税還付相当が含まる」などと、小さく明記されています。
さらに、大手買取業者やディーラーの場合、後のトラブルを防止するため、「自動車税の還付委任状」という書類に署名・捺印することを、さりげなく求めてきます。
いずれにしても、買取契約に際して担当者が自動車税還付について、詳しく説明することはありませんし、かつて業界に属していた経験から言うと、ユーザー側から何かしらのクレームが入ったことも、1度としてありません。
つまり、車を売ったユーザーは知らないうちに、自動車税還付金を受け取る権利を放棄しているという訳で、業者は契約締結後に手続きを進め、何食わぬ顔で還付金を受け取っています。
「そんなのだまし討ちだ!」と思うかもしれませんが、買取業者のみならずトヨタや日産などといった、有名ディーラーでも行っていることで、契約書への明記や委任状の存在がある以上、法的に一切問題のない商取引です。
加えて、査定額にちゃんと自動車税の還付分が上乗せされているのか、業者に問いただしたとしても、「はい、きちんと反映させてます」と答えられてしまえば、それが本当なのか判断することは、正直言って「不可能」です。
ですので、還付金が買取額に反映されているかということにこだわるより、複数社で査定額を比較することに心を砕いた方が、結果として高く上手に愛車を売る「近道」だと考えています。
【小技】自動車税が高額な車は一時抹消した後売るのもアリ!
還付金が発生しない軽自動車はもちろんのこと、自動車税額が安めであるコンパクトカーや、2・3月辺りで月割り金額がそう多くない時期の場合は、前述した通りそれほどこだわる必要もありません。
しかし、年額で5万円をオーバーする排気量2.5L以上の車を、自動車税を支払った直後に売るケースでは、少々黙認するには忍びない。
また、初年度登録から13年以上経過した中古車の場合、約15%税額がアップするうえ買取査定額が否応なく安めになり、還付金が占めるウェイトも大きくなるので、ここでは裏技的な方法を伝授しておきます。
中古車は、何もナンバーがついている状態でないと「売れない」訳ではなく、車検残が3ヵ月を切っている車に限ったことを言うと、一時抹消をしている・していないで、そう大きく査定評価が変わるわけでもありません。
ここで気が付いた方は鋭いですが、還付相当額が高額となる車の売却を決めている場合、いったん自分の手で一時抹消手続きを済ませ、その後出張査定を受けて契約し、車体を引き取りに来てもらう、という手を使えば純粋な査定額と還付分を一目で確認できます。
ただし、この方法を使う場合は、売却候補が出張査定と車両引取に、無料で対応してくれるかどうか事前確認しておくことをおすすめします。
車検が残っていれば自賠責保険料も戻ってくる?
前項で紹介した裏技にはもう1つ大きなメリットがあり、支払わないと公道を走行できない自賠責保険の還付金を、タイミングによっては受けとれることです。
車検を受ける際、一括支払する自賠責保険も、「車検を抜く」事になる一時抹消に伴い、残存期間に応じ月割計算で還付されるのですが、自動車税と異なり「自動的」ではありません。
自賠責保険の還付は、一時抹消したのち保険会社に直接連絡を入れ、保険契約を解約しないと受けられませんので、紹介した裏技にチャレンジする時はもちろん、廃車手続きを自分でする際にも、手続きを忘れないようにしましょう。
ちなみに、自賠責保険の場合は軽自動車であっても還付されることを念のため付け加えておきます。
自動車重量税も還付制度はあるが…
ここまでの解説を見て、「じゃあ自賠責と一緒に車検の時支払う、自動車重量税は戻ってこないの?」という、至って当たり前の疑問が浮かぶ方も多いでしょう。
結論から言うと、2007年1月の法改正を受け、「使用済」車両の重量税に関しては、車検残期間分(1ヶ月以上)の過払い相当額が還付されるようになりました。
しかし、「使用済」とお断りしたように、一時抹消や輸出抹消の場合は対象外で、完全にスクラップされ再利用資源に変わり、永久抹消となった場合のみ還付されます。
まとめ
買取業者やディーラーに愛車を売る際、そこまで還付金についてこだわる必要はない、と本文中で述べました。
しかし、無事売れたのあればともかく、査定額ゼロを告げられたうえ廃車手数料を請求された時には「還付金がどうなるのか」と、しっかり問いただすべきです。
そして、それでも手数料を求められた場合には、無料引き取りに応じる買取業者はもちろん、中には還付金をユーザーにきちんと渡すことを明記している、廃車専門の買取店もありますので、そういった業者をあたってみると良いでしょう。