国内初となる、本格派4WDオフロード軽自動車として、1970年に初登場したジムニーは、軽量化・低燃費化が進む軽自動車市場のおいて、現在まで強度と耐久性にこだわったラダーフレームを採用する、世界的評価も高いスズキの代表車種です。
今回は、非常に個性的で稀有な存在であるスズキ・ジムニーの買取相場や、高く売るためのコツについて、現役の車屋である私が解説していきます。
古くても高く売れる!ジムニーは特殊な軽自動車!
軽自動車は普通車に比べて各パーツが弱く、過走行・低年式車になるとエンジンや電気系統はもちろん、車検時の大きな点検項目である足回りに、トラブル発生のリスクが高まってきます。
そのため、多くの車種が10年・10万kmを目途にお役御免、査定付かず廃車になるケースも多いのですが、ジムニーの場合は話が異なります。
ジムニーは、そのフルモデルチェンジのスパンが長いことで有名で、50年近く前に登場した初代モデルは約11年間、多くの方が当時街で目にしたであろう2代目モデルの関しては、実に17年に渡り、同一モデルが販売され続けました。
もはや、旧車の域に達し「レア車種」となった初代モデルはもちろん、1981年から3年間販売されていた2代目第1期モデルは、2サイクルエンジン搭載の「2ストジムニー」と称され、独特のエンジン音とじゃじゃ馬加減から、熱烈なファンが今も大勢います。
その為、圧倒的人気のジムニーは他の軽自動車と買取額を比べても、圧倒的に高いです。
ジムニーの買取相場
初代と2代目第1期モデル、及び後続した第2・3期モデルついては、専門店も存在するほど高値で取引されていますが、数があまりにも貴重であるため紹介だけにしておきます。
以下では、現在まだ中古市場で多く見かける、2代目最終JA12型以降のモデルの買取相場をご紹介します。
JA12型ジムニーの査定相場
歴代ジムニーは、これまですべてのモデルで貨物車設定の4ナンバーのみでしたが、1995年に登場した2代目JA12型モデルは、前年登場のライバル三菱パジェロ・ミニを意識して、5ナンバー中心のラインナップに変更されました。
フェンダーミラーからドアミラーへの変更や、サスペンションの改良によって、従来モデルよりオンロード走行における快適性や、安定性が向上されたこのモデルは、20落ち・15万kmオーバーの中古車であっても、いまだに高い査定額を維持しています。
なお、同じ2代目モデルを構成する、1990年発売の第3期JA11型も人気があり高値で査定されるのですが、こちらについてはメーターが10万kmを超えると0に戻るという、特殊過ぎる仕様であるため、中古購入時は注意しましょう。
余談ですが、私自身、20年落ち以上のジムニーJA12型を30~70万円あたりで何度も買取したこともあります。
JB23型ジムニーの査定相場
一方、デザインが丸みを帯び車体サイズも拡大され、街乗り車へ強くシフトチェンジした、3代目JB23型ジムニーの場合は熱狂的なファンが少々離れ、特にAT車への評価が低い傾向にあります。
ただし、希少価値の高いMTモデルについては、少々年式が古く走行距離が長くとも、なかなかの査定評価を受けているので、まだまだ期待度大です。
JB64Wの買取相場
2018年6月にデビューを果たした、現行JB64型ジムニーについては、外観デザインがファンからの評価も高かった、2代目に近いスクエア形状に戻ったことと、先進の安全装備を満載したことにより、今後爆発的にヒットする予兆が漂っています。
そして、リセールバリューについても歴代モデルを上回る高いレベルで、長年にわたり維持されるものと考えられます。
ジムニーの査定が分かれるポイント
ジムニーの査定に差がつくポイントを解説します。
高く売れるグレード
JA12型に関しては、トラブルが多く不人気気味なターボモデルであるJA22型を除けば、どのグレードでも同レベルの査定結果を得ることが可能です。
一方、先代JB23型ジムニーには、
・ワイルドウインド
・FISフリースタイルワールドカップリミテッド
・ランドベンチャー
・クロスアドベンチャー
といった特別仕様グレードも存在し、これらの査定相場がベースグレードより、6~15万円ほど高めになってきます。
高く売れる色
豊富なカラーバリエーションで登場した現行モデルはともかく、歴代ジムニーには無塗装モデルも存在するほどカラーリング構成が単純かつシンプル。
また、雪道や泥道などオフロードでの使用により、ある程度汚れることやダメージが加わることを前提に、中古購入するユーザーも多いことから、カラーリングで査定額が上下することはあまりありません。
付いていると有利になる装備
まず2代目モデルについてですが、こちらの場合はカーナビやコンポなどの快適装備ではなく、その力強い悪路走行性にスポットが当たるため、付いていることにより少々査定アップ材料になりますが、付いていないからと言って大幅ダウンされる心配はありません。
1点だけ付いているべきと言えるものを挙げるなら、リアに備え付けになっている5本目タイヤ及びホイールで、スペアではない通常利用が可能なこちらが欠けている場合は、大きく査定時マイナスされる可能性もあります。
一方、オンロード志向が強まった3代目モデルの場合は、AV機器などの装備が充実している方が、高く査定されやすくなります。
ジムニーを高く売る方法
軽自動車の中でナンバーワンのリセールバリューを誇るジムニーですが、普通に買取店に出してもそこそこの買取額はつきます。
しかし、もっと買取額をアップさせる方法があります。
車屋の私から言わせてもらうと、ジムニーを+15万高く売るのはかなり簡単です。
最後に、ジムニーを高く売る方法について解説します。
ジムニー専門店で売る
ジムニーは世代の古いモデルになればなるほど、オーナーの趣味・趣向が大きく査定に影響してくる車の代表格なので、熱烈なファンをターゲットにしたジムニー専門店が、各地に点在しています。
専門店には、ジムニーを熟知した専門のメカニックが在籍していることが多く、質の良い中古車が揃っているため、たとえ通常の中古車店より高めの販売価格設定でも飛ぶように売れ、常に在庫不足状態にあります。
ですので、古くともしっかりメンテナンスしてきたジムニーに関しては、専門店に査定してもらうことで、紹介した相場よりも高く売れる可能性も出てきます。
一括査定を利用する
専門店で売るのが良いと前項で述べましたが、それは古めの2代目モデルまでの話で、一気にシティー派に変わった3代目以降、特に5~7年落ち程度のジムニーの場合、大手買取チェーンなどでの査定評価の方が、高くなってくることも多くなります。
しかしそこは、軽随一ともいえる悪路走破性を持つ本格4WDのジムニーですから、山間地にポツンとある小さな中古車店が強い地元ニーズにこたえ、大手買取チェーンより高い査定額を付けてくることもあります。
つまり、ジムニー専門店始め中小・大手入り交じって参加している一括査定を上手に利用して、タイプの異なる複数の業者に査定してもらうことが、ジムニーを高く売る一番の秘訣になってくるという訳です。